髪結いの亭主

「……」
言葉を失う、というのはこういうことなんだな。
テイラーは目の前にいる恋人の変わりように言葉通りの状態になり、何か言いかけたままになった口を閉じることも忘れていた。その変貌っぷりはフリーザーから出したばかりのカチカチのアイスクリームが今までの恋人、だとすると今はレンジにかけてどろどろに溶かしてしまった別の何かだ。
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Short Short

T 「あー……えっと、アレク……?」
A 「どうした、かわいいな?」 真顔
T 「……な、何もしてないけど」 怯え
A 「ほら、かわいい」 確信
T 「……」 Sigh…
A 「……?」
T 「ア……アレクがスウェーデンに帰ってるの知ってたし時差も計算してたけどうっかりジム行ったりバイクに乗ったりしてたりベガス行ってたら時間とか日付の感覚が狂っちゃってそのつまりはええとその……」
A 「……」
T 「誕生日のお祝い忘れててごめん……」 うなだれ
A 「テイがそんな風にしゃべるの初めて聞いたな」
T 「ごめん……」
A 「……謝るなよ」
T 「だって……」
A 「そんな顔、見たくない」
T 「ご……め……」
A 「Shhhhh……違うだろ?」 
T 「……ハッピーバースデ-、アレク……」
A 「スマイル」
T 「……うん」 おずおず……にっこり
A 「うん」 大満足
T 「……アレク」 ちょっとほっとする。
A 「愛してる」
T 「……う、うん……?うん……」

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たいしたSSじゃないけど、書いたのでw

I Love You

 テイラー・キッチュは撮影の合間の馬鹿騒ぎに巻き込まれた被害者だった。こういう時に加害者になるタイプと被害者になるタイプというのはわりとはっきりと分かれてしまうものだけれど、主演俳優クラス(すべてではないにしても)で、後者になるというのは珍しい。

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